星の名を持つサメ ― ホシザメの魅力とおいしさ | 宇都宮商店

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星の名を持つサメ ― ホシザメの魅力とおいしさ

#ホシザメ フカ

海の中を静かに泳ぐ小さなサメ、ホシザメ。全身に散りばめられた白い斑点が、まるで夜空に輝く星のように見えることから「星の名を持つサメ」と呼ばれています。見た目は少し強そうでも、実はとても穏やかで、味わいも上品。地方の市場でも見かけることがあり、家庭の食卓に並ぶこともあります。そんなホシザメには、まだあまり知られていない魅力がたくさんあります。本記事では、ホシザメの特徴や名前の由来、市場での姿、そしておいしい食べ方まで、その魅力をたっぷりとご紹介します。

星の名を持つサメ、ホシザメとは?

ホシザメは、その名の通り、体に散りばめられた白い斑点が星のように輝く美しいサメです。小型でおだやかな性格をしており、日本各地の沿岸で広く見られる身近な魚でもあります。サメと聞くと危険な印象を持つ人も多いですが、ホシザメは人を襲うことのない穏やかな種類。見た目の美しさだけでなく、その生態や名前の由来にも興味深いエピソードが隠されています。ここでは、ホシザメという魚の特徴と魅力を詳しく見ていきましょう。

ホシザメの見た目と特徴

「ホシザメ」という名前を耳にしたことがある方は、そう多くないかもしれません。サメと聞くと怖いイメージを持たれがちですが、ホシザメは人を襲うような種類ではなく、小型で穏やかな性格をしています。日本各地の沿岸、特に日本海や太平洋の中部から南部に広く分布し、水深40〜500メートルほどの海底近くで生活しています。

体長は1メートル前後と小柄で、体表に白い斑点が散りばめられています。この模様が夜空の星のように見えることから「ホシザメ(星鮫)」と名づけられました。英語でも “Star-spotted dogfish” と呼ばれ、国際的にもその美しさが知られています。

どんな場所に生息しているの?

ホシザメは、砂地や泥底を好む底生魚です。海底近くを静かに泳ぎながら、小魚や甲殻類、イカなどを探して捕食します。普段はあまり速く動かず、落ち着いた性質を持つサメですが、夜になると活動的になり、えものを求めて海底をすべるように移動します。その姿は、暗い海の中を流れる星のようにも見えます。温厚で人を襲うことはなく、扱いやすい魚ですが注意が必要です。

市場で出会うホシザメ

海の底で暮らすホシザメは、私たちの目に触れる機会が少ない魚です。しかし、漁港や市場に行けば、その美しい姿に出会うことができます。早朝の市場で氷の上に並ぶホシザメは、まるで星空を映したような存在感。地域によっては日常的に食卓に上がることもあります。ここでは、実際に市場で見られるホシザメの姿や、新鮮な個体を見分けるポイント、そして旬の時期などを紹介します。

漁港や市場で見られるホシザメの姿

早朝の市場を歩いていると、氷の上に並ぶ独特の模様を持つ魚が目に入ります。それがホシザメです。サメといえば珍しい印象を持つかもしれませんが、地方の市場では意外とよく見かける存在。特に瀬戸内沿岸や四国、九州などの西日本各地では、冬の味覚として親しまれています。

市場で見かけるホシザメは、皮に張りがあり、星模様がはっきりしているものが新鮮。水揚げ直後のものは体の光沢が強く、まるで星空を映したような美しさがあります。

地域に根づく魚としてのホシザメ

ホシザメは地域ごとに扱い方が少し異なります。煮つけや味噌煮などの家庭料理に使われる地域もあれば、練り製品や郷土料理の材料として親しまれているところもあります。市場では専門の魚屋が手際よくさばき、煮物用や唐揚げ用として販売しています。地元の人にとっては昔からなじみのある魚であり、日常の食文化の一部として受け継がれています。

鮮度の見分け方と旬の時期

ホシザメを選ぶときは、皮のツヤと張り、そして模様の鮮明さをチェックするのがポイントです。体がしっかりしていて、星模様がくっきりしているものが新鮮。目が澄んでいる個体も良品の証です。
旬は地域によって異なりますが、一般的に冬から春にかけて脂がのり、身が引き締まって美味しくなります。寒い時期のホシザメは、まさに「冬のごちそう」です。

ホシザメの味わいと楽しみ方

ホシザメは、その美しい見た目だけでなく、味の良さでも知られています。淡白でクセのない白身は、さまざまな料理に使いやすく、地域によっては昔から家庭料理の定番として親しまれてきました。サメというと独特の臭みを連想する方もいるかもしれませんが、ホシザメはそれが少なく、とても上品な味わい。ここでは、ホシザメの食感やおすすめの調理法、栄養面での魅力についてご紹介します。

クセが少なく上品な白身

ホシザメの白身は、淡白でクセがなく、とても食べやすいのが特徴です。下処理さえしっかりすればサメ特有のアンモニア臭が少ないため、初めて食べる方にもおすすめです。、ふっくらとした柔らかい身質が際立ち、まるで高級魚のような味わいになります。

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人気の調理法 ― 煮つけ、唐揚げ、湯ざらし

ホシザメはさまざまな調理法で楽しめる魚です。定番は、なんといっても煮つけ
身が崩れにくく、味をよく含むため、甘辛いタレでじっくり煮込むとふっくらとした食感に仕上がります。骨もやわらかく、冷めてもおいしいため、家庭料理として人気があります。

もう一つのおすすめは唐揚げ。下味をしっかりつけて揚げると、外はカリッと、中はしっとり。サメ特有の臭みがなく、子どもから大人まで楽しめる味わいです。レモンや塩でシンプルに味わうのもおすすめ。

そして、見逃せないのが愛媛県を中心に受け継がれている郷土料理、湯ざらしです。ホシザメの切り身を湯通ししてから冷水に取り、味噌や酢味噌でいただく料理で、さっぱりとした口当たりと独特のうま味が楽しめます。新鮮なホシザメならではの食べ方で、地元ではお祝いの席や家庭料理として親しまれています。

フカの湯ざらし(photoAC)

煮る、揚げる、湯にくぐらせる——どの調理法もホシザメのやさしい白身を引き立て、素材の魅力を存分に味わうことができます。

栄養価とヘルシーなポイント

ホシザメは高たんぱく・低脂質で、健康志向の方にもおすすめ。さらにコラーゲンが豊富で、皮や軟骨には美容に良い成分が多く含まれています。
また、EPAやDHAといった不飽和脂肪酸も含まれており、血液をサラサラに保つ働きも。美味しさと健康を兼ね備えた、まさに“海のスーパーフード”です。

まとめ

ホシザメは、その名の通り星のように美しい模様を持つ、小さな海のサメです。危険な存在と思われがちなサメのイメージをくつがえし、穏やかで、そして味わい深い魚として人々の暮らしのそばに寄り添ってきました。市場で見かけるその姿は、海の恵みそのもの。漁師が丁寧に扱い、料理人がその味を生かし、家庭の食卓へと運ばれていきます。星のように輝くその模様には、自然の美しさと、命の循環が静かに刻まれています。
一見、特別な魚に思えるホシザメですが、実は日本の海が育んだ身近な存在。食べることを通して、海や自然とのつながりを感じることができます。次に市場や漁港を訪れたときには、氷の上に静かに並ぶホシザメの姿に目を向けてみてください。その凛とした美しさから、海がもたらす豊かさと、そこで働く人々の思いを感じ取ることができるでしょう。

この記事の著者

masa

愛媛県在住 17年前に建設業から魚を扱う仕事に転職。17年この仕事をしてきて肌で感じる地元漁港の水揚げ量減少、そして日本人の魚介類消費量減少。少しでも皆さんの食卓に美味しい魚そして愛媛県の県魚である真鯛を全国の食卓に。

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